虫歯

子供に虫歯を作ってしまった。



8歳になる息子が産まれる前に読んだ妊婦・育児雑誌に子供の歯磨き/仕上げ磨きの特集が組まれていて、
今は昔と違って小学校4年生くらいまでは親が仕上げ磨きをするべきと書かれていた事や、
妊娠中に検診に行った歯医者で歯科衛生士の方から正しい歯の磨き方を2カ月に渡って細かくレクチャーして頂いた事もあり、
「子供には絶対に虫歯をつくらない!」という並々ならぬモチベーションで初めての乳歯が生え始めた0歳の頃から子の歯磨きに挑んでいた。


私が小さかった頃はまだ親世代にそれほど歯に関する情報が無く、歯磨きを強要される事も少なく、
同級生たちもみんな乳歯から虫歯があったし、私は扁桃腺肥大でいつも声枯れしていたから、寝る直前まで喉を潤すためにはちみつをお湯で溶いた甘い飲料を飲みそのまま寝落ち…という虫歯まっしぐらな子供時代を過ごし
悪い歯のベースを作ってしまった。その後、大人になってもたびたび歯医者に通う必要があり
お金も時間もかなりかかるし、治療は痛いし、本当に歯には苦労している。
だからと言って親をうらむという事はなく、単純にそういう時代に産まれたというだけなのだ。


なので新常識である歯に関する正しい知識をつけた今、
絶対に息子の歯には虫歯を作らない!という強靭な意志を持って
雨の日も風の日も、ギックリ腰で10度くらいしか前屈みになれない日も、1分1秒を争う忙しい朝も、泥酔して一刻も早く眠りたい夜も、8年間仕上げ磨きをがんばってきたのだ。
とにかく『お子さんが正しい磨き方で自分で歯を磨けるようになるまでは、たとえ中学生になっても保護者の方が仕上げ磨きをするべきです』という、雑誌たまごクラブの1文を信じて日々邁進してきた。

でも昨年息子が小学校に上がった頃から、
自分でも少しは歯磨きが出来るようになってきたし、たまのお泊まり会の時など1回くらい歯を磨かない日があったけど結局虫歯にならなかったよね、だから1回くらいなら歯磨きをしなくても大丈夫、という感じで、
仕上げ磨きにちょっとしたサボり癖がついてきた。
特に土曜日は私だけが朝からバタバタと出かける必要があり、そうするとまだ息子は甘いドーナツの朝ごはんを食べてる最中で、「歯磨きしてね!」と声をかける事も忘れて家を出る事が増えてきた。
夕方帰宅して聞くと、朝から一度も歯を磨いていないという事が
最近ではとても増えてきた。
加えてコロナもあって1年ほど歯科検診に行くのもサボっていた。


その日、息子の口の中を覗くと、
下の奥歯に黒い0.3ミリほどのかたまりがあった。
本当に小さいのだけど、それは黒く、すぐに「食べかすか何かだろう」とゴシゴシ磨いたけど取れない。焦って爪楊枝を持ってきて突いてみたけど取れない。10回ほどうがいをさせたけど取れない。

これは虫歯確定だ。


膝から崩れ落ちるように体全体の力が抜けて、暗黒に包まれるように落ち込んだ。

虫歯ごときであまりの私の落ち込みっぷりに息子はドン引きしたが、
そのあと私がショックで泣き出すと、息子もつられて泣き出して、
2人で抱き合っておいおい泣いた。(←バカ親子)

土曜に仕上げ磨きをサボったからいけなかったのか、
もっとちゃんと自分で磨けるように教えるべきだったのか、コロナ禍だけど歯科検診に行くべきだったのか、など色々な悔しい事が脳裏に浮かぶ。

Gと略されるあの害虫は、家の中に1匹いたら1000匹いると疑え、という言うが
虫歯は1本見つけたら今後もずっと虫歯と付き合う事になる、と
これも何かの雑誌で読んでた。今後彼はずっと虫歯と付き合う事になるのだろうか。
そうだったら本当に申し訳ない。

最近うちのスタッフで入ってくる子たちは皆とても育ちが良く、
そしてやはり意識の高い親御さんに育てられているからか、皆虫歯が無い。
歯医者に行くのは検診だけ、と聞く。
なのに私は子供に、わずか8歳で虫歯を作ってしまったのだ。
なんというダメ親だろう!


ちょうどその頃、仕事で人間の二面性をまざまざと見せつけられる出来事があって神経をすり減らしていたので
ボディーブローのように息子の虫歯という事実が効いてきた。


私はイヤな事がすぐに顔に出るので、それで誤解を受ける事も多々あるのだけど、
ストレートで分かりやすい、裏表のない人間だと自分の事を思っている。
しかし世の中には、表面上はとっっっっっても良い人なのに
ちょっと後ろを振り返ったとたんに陰口がマシンガンのように出る、という人種がいらっしゃるようで、
例えば
昨年末の大晦日に、お蕎麦屋さんに行ったとき。


私の家は子育て世帯が多い団地みたいな集合住宅なのだけど、
そこから少し足をのばすと閑静な住宅街があり
その一角にこじゃれたお蕎麦やさんがある。中はカウンター席と4人がけのテーブル席2つのみで、
大晦日ともなると混むのは必至だ。
その日も昼の12時頃にはすでに行列ができており、結局1時間以上待ったのだけど
私たちの前に立っていた中年の女性2人組がその1時間鬼の形相でエンドレス暴言を吐いており
「中の従業員がトロいんだよ。バカじゃねえの」
「ノロいババアがソバ茹でてんだよ。顔だってシワだらけ」
とか、もうこっちが辛くなるくらいずーーーっとひどい言葉を羅列していたのに、
いざ店内に案内されると
「奥さんのとこのお蕎麦楽しみにしてたのよぉ」
「忙しくて大変よねえ。わかるわあ」
とかニッコニコの笑顔で言っていて、
え、なに、この二面性、さっきまで怖い顔してあれほど暴言吐いてたのに、と
本当に恐ろしくなった。

話がそれてしまったけど、
それと似たような事がちょうど仕事で色々と起こっていた時期だったので、
私の心はかなり弱っており、
たった1本の虫歯で打ちのめされて、
その日は結局一睡もできぬまま朝を迎えた。

でも朝日を見て気持ちを落ち着け、
頑張って早めに歯医者を予約して、来週には治療してもらえばきっと大丈夫、
これからしっかり子供が1人で歯磨きできるように教育しよう、
いい機会だこれはきっと、
と、なんとか心を立て直していた。


しかしその日の夜。
心を入れ替えた私に感化された息子がくまなく全歯を磨き終えようとしたその時、
「ママー!虫歯、消えたよー!」
と叫ぶではないか。

え、マジ、なにそれマジほんと!?
もし本当なら一度落ちた第一志望校に補欠で合格したみたいな
一発逆転劇ではないか!

でも子供の言う事だし、ただの見落としの可能性もある。洗面所のダウンライトが昨日1つ切れて今日はいつもより暗いから見えてないだけではないか。

そう思いながら彼の口の中を覗くと
本当に虫歯が消えていた。
正確には、虫歯だと思っていた何かが消えていた。

「思い出したけど、昨日おやつで食べた煎餅にコゲみたいのがあって、なんかねっとりしてた」
という息子。
ああ虫歯と思ったのは煎餅のコゲか。
虫歯ではなかったのか。
私の心は一気に晴れ、ウザい仕事や辛い仕事、どんな仕事でもこなせそうな
謎の万能感に突如包まれた。
神様、ありがとう。
明日からもがんばります。


虫歯騒動はショッキングだったけど、
その日以来息子も心を入れ替えてしっかり歯磨きをするようになったので
結果オーライってこのことかな?と思った!


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